糸を使ったリフトアップは、専用の糸を顔に通し直接小顔効果を得られる方法です。糸にはたくさんの種類があるため、どのような選び方をしたらいいのか迷うこともあるかと思います。今回は、リフトアップに使われる糸の種類と選び方について紹介します。

糸の種類について

大きく分けて「溶ける糸」と「溶けない糸」に分類され、さらにいくつかの種類が存在します。まずは、糸の種類と特徴をご紹介します。

溶ける糸(糸の種類)

溶ける糸とは、体内に挿入後、徐々に体内に吸収されてなくなるタイプを指します。多くの溶ける糸は安全性が高く、皮膚に吸収された後に肌へ美容効果を与えてくれます。自然なリフトアップを行いたい方に適している糸のタイプです。
溶ける糸は糸の特性や効果によって、複数の種類が存在し、それぞれに特徴があります。

PCLで作られている糸

PCLとは、ポリカプロラクトンという素材の略称です。長年医療現場で使われている、生体に吸収される素材の一つです。そのため安全性は確立しており、安心して使える糸の種類といえます。
糸の特徴としては、非常にしなやかな弾力性のある素材で柔軟に動きます。そのためよく動く関節や首、口元といった部位に適しており、特に首に対して最適といわれる素材です。また体に吸収されるまでに1年から2年半かかるといわれ、長期的なリフトアップ効果を期待できる糸でもあります。素材が吸収される過程ではコラーゲンが生成され、美肌効果も期待できる糸の種類です

point

・安全性が高い。
・非常にしなやかで弾力性がある。
・1年~2年半の長期的なリフトアップ効果が期待できる。
・糸が吸収される過程で皮膚にコラーゲンが生成される。

PDOで作られている糸

PDOはとは、ポリデオキサノンという素材の略称です。こちらはPCLと同様、長年医療現場で使用されてきた生体吸収素材の一つになります。そのため、PCLと同じく安全性が高い糸です
糸の特徴としては、硬さがちょうど中間程度で引き上げる力もそこまで強くはありません。しかし硬くも柔らかくもない糸の硬さから、リフトアップ以外でも、多くの部位に使用されます。

point

・安全性が高い。
・程よい硬さがある。
・糸の持続は1年程度。

PLAで作られている糸

PLAとは、ポリ乳酸という素材の略称です。こちらも長期的に医療現場で使われる、安全性の高い糸の素材の一つです。特に医療用のネジやプレートとして使われることが多く、とても硬い特徴があります
素材としては、とても強固であるため引き上げ力が他よりも強いという特徴があります。しかし持続期間は1年から2年程度と、PDOよりは少し短いです。ですが強い引き上げ力と硬さは、高いリフトアップ効果を得たい人には適している素材になります。特にほうれい線やフェイスラインといった重たい部位におすすめの糸です。

point

・安全性が高い。
・硬めの糸で、強力な引き上げ力。
・糸の持続は1年~2年

PCL、PDO、PLAの比較

PCL、PDO、PLAの糸を比較すると下記のようになります。
糸同士の優劣はなく、適切な場所に的確に使用することで効果を最大限に発揮します。

溶ける糸(糸の状態)

先ほどご紹介した糸は、素材をそのまま使うこともありますが、更なる効果を高めるために、付加価値(特徴)を付けて使用することが多いです。ここでは付加価値の種類について、ご紹介します。

コグ(トゲ)がついている糸

「コグ」と呼ばれる突起のある吸収糸は、たるみをより持ち上げられるように設計されています。特にほうれい線や口の周りなど、リフトアップ効果を実感しにくい部位に大きな効果が期待できます。また、吸収する過程でコラーゲン組織が生成されるため、肌への美容効果も期待できます。

コーンがついている糸

「コーン」とは、円錐状の突起をいいます。円錐状の突起が糸に付いているため皮下組織を360度しっかり持ち上げ、高いリフトアップ効果を期待できます。コーンは8か月から10か月で吸収されますが、その後もコラーゲンが残るためおよそ24か月の継続的な効果を実感できる糸です。立体的なリフトアップとして注目されており、糸だけのリフトアップより効果的です。

ビタミンCやボトックス成分が練りこまれた糸

ビタミンCやボトックス成分があらかじめ練りこまれている糸は、リフトアップだけでなく肌のエイジングケアや美肌に効果を発揮します。さらにビタミンCやボトックス成分の効果である、シミやくすみ、ニキビ跡の改善も同時に行える糸です。リフトアップだけでなく、同時にエイジングケアも行いたい方に適している糸の種類といえます。

短い糸

短い糸を使ったリフトアップは、長い糸と比べ体への負担が少なくすみます。限定的な部位や軽い引き上げなどに適している方法です。強い効果は実感できないため、自然な引き上げを希望している人におすすめの糸です。

溶けない糸

溶けない糸とは文字通り、糸が体に吸収されない糸を使用したリフトアップをいいます。ナイロンなどの素材で継続的に引き上げるため、強いリフトアップ効果を期待できる糸です。しかし溶けない糸は、永続的に体内に残るためあまりおすすめできません。また溶けない糸とはいえ、リフトアップ効果は1年から2年程度です。そのため太い糸が体内に残ることを考慮し、選択する必要があります。

糸の選び方

紹介したように、糸は素材や特徴により様々な種類に分かれ、たくさんの中から自分に合った糸を選ぶことが必要になります。ここでは、リフトアップする際の糸の選び方についてまとめてみました。自分の条件と照らし合わせ、参考にしてみてください。

部分的にリフトアップしたい

部分的にリフトアップしたい場合は、PLAや短い糸を利用することがおすすめです。PLAのような硬く強い効果を期待できる糸は、部分的なリフトアップに大きな効果を期待できます。短い糸で行うことで、体への負担も少なく治療を行うことが可能です。

point

部分的なリフトアップには、PLA、短い糸がおすすめ。

全体的にしっかりリフトアップしたい

全体的なリフトアップを希望する場合は、PCLやPLAを併用したコグやコーンの付いた糸を使うことがおすすめです。部位ごとに柔らかい糸と硬い糸を使い分け、コグやコーンでしっかりリフトアップすることで顔のフェイスリフトに高い効果を示します。また部分的には溶けない糸を選択することで、より理想に近いリフトアップが可能です。

point

全体的にしっかりリフトアップするには、コグやコーン付きのPCLがおすすめ。

引きつれの心配をせず、自然な形でリフトアップしたい

自然なリフトアップを希望する人は、溶ける糸全般おすすめです。溶ける糸は引きつれ感が少なく、その後の美肌効果も期待できます。また時間経過で、さらに肌になじむため自然な仕上がりにすることが可能です。特に柔軟性の高いPCLを使えば、より自然なリフトアップをすることができます。

point

皮膚が柔らかく引き連れの心配がある場合は溶ける糸、特にPCLがおすすめ。

ダウンタイム時間をかけずにリフトアップしたい

ダウンタイムは、糸の種類でほとんど左右されることがありません。しかし短い糸を使えば腫れやむくみの範囲を抑えらるため、ダウンタイムは少しだけ短いです。しかしどのような糸リフトでも、1週間から10日程度のダウンタイムがあります。ですが傷は小さく済むため、翌日からメイクやシャワーも可能リフトアップ方法です。

point

ダウンタイムを気にしたくないのなら短い糸がおすすめ。

ご自分の希望と用途で的確な糸を選びましょう。

糸のリフトアップには、用途や効果により様々な種類が存在します。自分だけでは、適切な糸を選ぶことは難しいでしょう。
一番良い決め方は、信用できる医師を見つけ、納得がいくまで相談することです。
この記事を参考にしていただいたら、次は「どの部分を改善したいと思っているか」「どのように改善したいと思っているか」ということを明確にして、専門の医師へ相談してみてください。