昨今、切らないリフトアップが若返り施術の中でも多く行われています。

切らないリフトアップとは、基本的には特殊な糸を皮下に通すことでコラーゲンを増やし、また皮膚を引き上げるコグ(突起もしくはトゲ)が糸にあることで引き上げ効果もあります。
これまでの切るリフトに比べダウンタイムがほとんど無く、なおかつ皮膚の張りを改善させる若返り効果があることが特徴です。

糸の種類(例えば溶ける溶けない、太さ長さ、コグがどんな形をしているか)によってさまざまな呼び名があります。

ここではシルエットリフトについて解説していきたいと思います。

シルエットリフトとは?

シルエットリフトとは、切らない糸のリフトアップの1つです。
(施術法によってはこめかみあたりに数㎝ほど切開して固定する方法もあります。)

リフトアップですから頬を両手で引き上げた時のような若々しい顔を取り戻す、たるみの改善を狙う若返り治療です。

具体的には引き上げたい部分の皮膚の下にバイオコーンという立体のコーンがついた特殊な医療用の糸を通し、皮下組織を引き上げます。
シルエットリフト
このバイオコーンが皮下組織に引っかかり、たるみが引きあがる仕組みになっています。

コーンがビーズのように糸に通され固定されたような形状です。
糸は結び目がところどころにありそれによって円錐状のコーンが固定されています。

コーンはすべて溶ける素材ですが、糸は溶ける糸・溶けない糸の2種類があります。

また、FDA(米国食品医薬品局、日本の厚生労働省に相当)の承認を受けていることから安全性は確保されていると言えるでしょう。

シルエットリフトの特徴と施術法

特徴

シルエットリフトの特徴は吸収性のある溶ける円錐状のコーンにあります。
糸にビーズのように固定されているものです。
シルエットリフト

他の糸のリフト(ハッピーリフトなど)のような糸に切り込みを入れて毛羽立ちさせたものよりも、コーンが組織をつかむ部分の面積が多いのが特徴です。
引っかかりが強く出るので持ち上げる力は毛羽立ちよりも強いでしょう。

また糸には結び目がついており、この付近で線維組織(コラーゲンなど)の増殖が目立つようです。
なのでコーンは皮膚下で吸収された後でも、糸の結び目のあたりに線維組織が増殖するので効果が持続しやすいのです。

施術法

シルエットリフトの施術法は大きく分けて2種類あります。


  1. こめかみあたりに糸を留めて固定する方法
  2. 糸を固定しないで挿入するのみ

たるみ具合やダウンタイムがとれるかどうか、医師の考え方によっても施術法がかわります。
固定してくる場合、糸にかかる張力は大きくなり引き上げる力は強くなりますが術後引きつれる感じや、痛みがでる場合もあります。

挿入のみではひきつれや痛みはほぼありませんが、引っ張る力はコーンのみとなり弱めです。

1. こめかみあたりに糸を留めて固定する方法

シルエットリフト

まず一つ目はこめかみの部分に糸を留める方法です。
顔面の片側に2~4本の糸を挿入し、こめかみの側頭筋(顎を動かすときにこめかみに手をあてると動く筋肉)のあたりで筋膜に糸をかけることもあれば、浅い層のみに糸をかける医師もいます。

一般的には、こめかみの糸を固定する部位を麻酔して約1㎝ほど切開し、そこから頬にむかって糸を通していきます(もちろん糸が通る部分もあらかじめ麻酔をします)。
切開した部分からは側頭筋膜という筋肉を覆っている膜が見えますからそこに固定をするか、そこまで深くは固定せずにその手前の部分に固定する場合もあります。

1本の糸の真ん中のコーンが無い部分は固定され、その両側の糸を頬にむかって挿入していきます。
挿入し終えたら、頬から出た余分な糸を切れば施術は終わりです。

切開した部分は縫合する場合もありますが、1㎝未満であればそのままということもあります。
縫合した場合には抜糸が必要になります。

2. 糸を固定しないで挿入するのみ

糸を固定しない場合は切開せずに行うことも可能です。
固定する場合のやり方と同じで、糸の真ん中を固定しないで挿入するだけという方法の場合もありますしそもそも折り返さずに挿入する場合もあります。
シルエットリフト

一方、折り返さずに挿入する場合、引っ張る力は糸の中央に集まります。
ただし、こめかみよりの糸の断端は皮膚があまり動きませんのでこれにより動きのある頬の皮膚が引っ張りあがります。

シルエットリフトのデメリットと注意点

こめかみで固定する方法をとればそれなりに強く引き上げられますが、ダウンタイムを伴います。
施術方法によりダウンタイムは多少変わります。

いずれの施術法でも術後に違和感が多少あります。

また術後は特に頬は若干腫れぼったくなり、翌朝にはむくみが多少出ることもあります。
特にこめかみのあたりに糸を留める方法は、強い痛みが1~2ヶ月も残る可能性があります。

頬のあたりに糸を挿入するだけでも、1-2週間は触ると重い感じの痛みを伴います。

基本的に糸はゆっくり溶けていきますが、糸が皮膚から飛び出てきたという事例もあります。

シルエットリフトだけに言える事ではありませんが、手術直後に得られる引き上がり効果(リフトアップ効果)の後戻りが起こります。
個人差はありますが中にはほぼ元通りになってしまう症例もあります。

シルエットリフトの価格帯

シルエットリフトの料金相場は1本あたり4-8万円で、4本~となりますので相場は20-30万円~となります。

まとめ

シルエットリフトは糸を挿入することによって行うリフトアップの1つです。
挿入方法によりリフトアップ効果に違いがあります。

ダウンタイムがどれくらいとれるか、たるみの具合はどうかによって挿入する本数や挿入の仕方が変わることがありますので担当医とよく相談してみましょう。

よくある質問

失敗することはあるのでしょうか?
何をもって失敗とするかですが、術直後に「すみません失敗しました!」ということはありません。
通常は1ヶ月したところで「変わらない」「痛みがとれない」「ひきつれがある」などを指すのでしょうか。

変わらないは基本的にはないでしょうが、もともとの引きあがりの期待値が高い場合には思ったほど変化が認められないとこの感覚になるかもしれません。

引きつれに関しては多くの場合1ヶ月以内に落ち着きますが、1ヶ月以上たっても引きつれが治らない場合には処置が必要なこともあります。

痛みが取れない時には炎症が続いています。
糸以外の異物(髪の毛も意外と多い)が入ってしまっていたり、傷口から細菌が入ってしまった場合などに痛みが1ヶ月以上続くことがあります。
対策としては異物を除去すること、抗生剤の服用、最悪の場合には糸を抜去しなくては治らないこともあります。

通院は必要ですか?
通常その必要はありませんが、こめかみの切開をして糸を固定した場合には皮膚を縫合した糸の抜糸が必要な場合もあります。