シリコンバッグ豊胸とは?

豊胸、バストアップをするならシリコンバッグ挿入法をイメージする方も多いと思いますが、シリコンバッグはその名のとおりシリコン製の袋(バッグ)にシリコンジェルや生理食塩水が内容物として含まれたバッグのことです。

米国を中心に1960年代から美容目的の豊胸手術の際に用いられ、一時期は安全性などの問題により禁止された時期がありました。しかし2000年代に入りシリコンバッグの膜が破損しても内容物が漏れ出さない『コヒーシブシリコン』が開発されたことで、安全性の向上や違和感のない胸を作ることが可能となり今に至っています。

コヒーシブシリコンはお餅を想像してみてもらえばわかります。
もし万が一外の袋が破損しても流れ出て、乳腺下の組織と癒着してしまったりする心配はありません。

シリコンバッグによって物理的にバストアップを目指せるのが大きなメリットでもあり、個人差はありますが他のバストアップ法や豊胸手術と比較すると1.5サイズ~3サイズのバストアップも可能な方法です。

メスを用いて切開するれっきとした手術となるため、トラブルや術後のケアといった注意点もあります。
しかし自身が希望するバストを確実に手に入れたいという方にとってシリコンバッグ豊胸は最も良い選択となります。。

シリコンバッグ豊胸がむく胸とむかない胸

シリコンバッグを使用した豊胸術はバッグを入れる位置が3ヶ所あります。
挿入位置によって向く胸と向かない胸があるため、手術を受ける前にしっかりと把握しておきましょう。

乳房は、上から皮膚-皮下脂肪-乳腺-①-脂肪組織-②大胸筋-③-骨(ろっ骨)となっています。
これらのどの部分にバッグを置いてくるかで変わります。

挿入位置別に見た向く胸・向かない胸は以下のとおりです。

①乳腺下法

その名の通り乳腺の下に入れる方法です。
妊娠中や授乳中でない限り乳腺はそこまで発達していません。
ですから胸の比較的浅い部分にシリコンバッグを挿入することになります。

大胸筋法と比較するとバッグが入っているのがどうしてもわかりやすくなることから皮下脂肪、皮膚の厚みがない方が受けるのはあまりおすすめできません。
(もし男性がバッグを入れるとなれば、ふつうは大胸筋下が選択されるでしょう。)

シリコンバッグを隠すことができる厚みを持っている方や、Bカップ~Cカップといったはじめからバストがそれなりに大きい方には乳腺下法は適しています。

②大胸筋膜下法・③大胸筋下法

シリコンバッグを大胸筋(胸の筋肉)の下に挿入していくのが大胸筋下法、その大胸筋と乳腺の間にある筋膜にシリコンバッグを入れるのが大胸筋膜下法となります。
大胸筋膜は比較的薄いので、どちらかといえば乳腺下法に近い仕上がりになります。

一方、大胸筋下法の挿入位置は皮膚表面から少し深い部分となるためパッと見ただけではバッグを入れているのがわかりにくいというメリットがあります。

この位置にシリコンバッグを挿入するのが適しているのは皮膚が薄い、皮下脂肪が少ない、バストが小さい方です。
このような特徴の胸を持っている方というのはシリコンバッグを体の浅い位置に入れるとバッグの輪郭がハッキリと見えてしまうことから不自然なバストになりやすいため極力、自然な胸を演出できる深い部分にシリコンを入れるのがおすすめです。

また筋肉の下に挿入するため、大胸筋が発達している方が行うと感触が硬くなりがちになるというデメリットもあります。
その他では乳房が下垂している方だとバストの上だけが膨らみ、ダブルバブルと呼ばれるバストに不自然な段差が生じてしまう胸になってしまう可能性もあります。
(乳房が大きければ良いというより、綺麗な形を保ったまま大きくというのが大事なのです)

シリコンバッグ豊胸でどんな胸になる?その効果は?

シリコンバッグ豊胸で得られる胸ですが、前述のように施術前と比較すると1.5サイズ~3サイズのバストアップが可能となります。
またヒアルロン酸注入法や脂肪注入法といった他の豊胸術は希望のサイズ、理想の形にすることが難しいですが、シリコンバッグ挿入法はさまざまなサイズ、形をしたバッグがあるため限りなく自分の理想に近いバストを得ることもできます。
(注入系でも理想の形にならないわけではありません。最大のメリットはやはりサイズでしょう)

例えばシリコンバッグにはラウンド型、アナトミカル型といった形状のものがありますが、ラウンド型は丸い形をしており胸全体を自然にボリュームアップさせることが可能です。
一方のアナトミカル型は欧米人に多い自然に垂れ下がったバストを作りたい時に適しているといわれています。
(ラウンド型は左右対称の丸いドーム状の形、アナトミカル型はブラのパッドのような形をしたバッグです。)

日本人のシリコンバッグ豊胸ではほとんどの場合ラウンド型よばれるいわゆる一般的な型を使用します。

またこの他にも先ほど取り上げたシリコンバッグを挿入する位置によってもバストの形は変わってきます。
一般的に大胸筋下法や大胸筋膜下法は自然な形をしたバストを目指したい方に効果があり、乳腺下法は出産や授乳、加齢により失われたハリを戻し、バスト全体をリフトアップさせる効果が大きい術式です。自分がどのようなバストを目指したいかで手術方法も異なってくるため、この点は施術前の診察、カウンセリングで医師にしっかりと相談しましょう。

シリコンバッグ豊胸の具体的な施術方法

前述のようにシリコンバッグ挿入法も複数の種類があり、それぞれに施術方法も異なってきます。
各手術方法や内容は以下のとおりです。

乳腺下法

乳腺と大胸筋の間にシリコンバッグを挿入する乳腺下法です。
感覚的には皮膚の直下にあるようなイメージです。

胸の浅い部分にバッグが入るため、感触が柔らかくなりやすいのが特徴です。
自然な形さえしていれば触ってもわからないくらい自然なバッグが多いです。

乳腺下法は切開してバッグを入れる入口部分がわきの下や乳房の下部です(通常日本ではわきの下が一般的です)。
よく乳腺下法と聞くと『乳腺を傷つけるのでは?』という不安を持つ方もいますが、乳腺には影響はないため出産後の授乳を今後、控えている方でも受けることが可能です。

大胸筋下法と比較すると筋肉にメスが入らないことから、痛みも少なく施術後の腫れもごくわずかとなります。
ただし乳腺には影響がないといっても乳腺付近を切開する術式でもあることから、乳腺下法のケースでも経験豊富な医師を選択することが必要となるでしょう。

大胸筋下法

大胸筋下法は脇の下の部分を切開して大胸筋と肋骨の間にシリコンバッグを挿入していくバストアップ法です。この方法は乳腺を傷つけることなく行えるため、出産前や授乳中の方には適しています。

シリコンバッグの挿入口は普通わきの下という目立ちにくい箇所になりますのわきの下を数㎝切開します。
傷跡はまじまじとわきの下を見なければ分かりませんし、この傷口が原因でシリコンバッグをいれてるとは気づかれないでしょう。

大胸筋を剥がして挿入するスペースを確保するため他の術式と比較すると痛みが強く、通常の生活に戻れるまでのダウンタイム期間が長いのが大胸筋下法のデメリットとなります。

大胸筋膜下法

大胸筋と乳腺の間にある筋膜にシリコンバッグを挿入するのが大胸筋膜下法となります。切開する部位は大胸筋下法と同様に脇の下であり、傷跡が目立ちにくかったり乳腺を傷つけるリスクが低いのがメリットとなります。大胸筋下法と比較すると痛みが少なく、ダウンタイムの期間が短いのが特徴です。

また大胸筋下法よりも浅い部分にバッグが入るため、感触も柔らかなものとなります。シリコンバッグ挿入法では比較的新しい技術であり、非常に高度な技術を要するため大胸筋膜下法の施術を考えている方は経験豊富で確かなスキルを持った医師を選ぶことも重要なポイントです。

シリコンバッグ豊胸施術後のケア

シリコンバッグ挿入法は最も効果がある豊胸術、バストアップ法ともいわれていますが、異物を体の中に入れるため術後のケアも非常に大切となります。
特にシリコンバッグを入れた後に注意しておきたいのは『カプセル拘縮こうしゅく』と呼ばれる現象です。

これはシリコンバッグを異物と認識した自身の免疫が隔離させようと皮膜を作り、防衛反応を出すことで起きる症状です。
この皮膜がシリコンバッグを締め付けて小さくしてしまうことが稀にあります。
このような状態になると感触が硬くなる、胸の形が不自然になる、痛みも伴うといった可能性もあることから注意が必要です。

カプセル拘縮を防ぐのには術後の絶対安静や抜糸までの1週間ほどの期間は入浴も控えるといったケアが大切となります。
また個人差はありますが術後2週間までは腫れや痛みが残ることが多いため、胸を圧迫する原因となる下着の着用も避けるのが無難です。

抜糸後の十分なマッサージも忘れないようにしましょう。
状態が安定してくるのは約1ヶ月ともいわれているため、手術が終わった後のケアというのは理想のバストを目指す上では非常に大切となります。

シリコンバッグ豊胸の価格帯

シリコンバッグ豊胸の費用相場は約50万円ほどです。
もちろん、この数字はあくまでも平均値となるため20万円前後で施術可能なクリニックもあれば、100万円以上の費用がかかる病院もあります。

なぜ同じシリコンバッグを使用した手術であるにも関わらず、費用にこれだけの開きがあるのかということですが、これは意図的に集客目的で料金を抑えていたり麻酔代金や検査代金が含まれていない料金を公開している可能性が高いためです。

実際に『このクリニックは平均費用と比較すると安いし行ってみよう!』という方が詳しく話を聞いたら手術費用のみの料金といわれたという声も多いです。
このような状況を招かないように、表面上の費用だけではなく追加料金の発生に関してもしっかりと確認しておくことが大切となります。

まとめ「シリコンバッグ豊胸の効果と特徴」

今回はシリコンバッグの特徴や効果、費用などについて解説しましたがいかがでしたでしょうか?
豊胸、バストアップを目指す方には非常に効果が高いシリコンバッグですがメリットだけではなく、リスクや失敗の可能性も把握しておくことが大切となります。

医師とのカウンセリングで気になる点やわからないことは納得するまで質問、相談するようにしましょう。後々のトラブルを避けるために、ぜひ参考にしてください。

シリコンバッグ豊胸に関するよくある質問

シリコンバッグに関するよくある質問をまとめましたのでご覧ください。

手術にかかる時間は?
シリコンバッグ挿入法にかかる手術時間の平均は2時間前後となります。
手術中の痛みはないの?
シリコンバッグ豊胸では麻酔を使用することから感じることはありません。ただし術後は絶対安静が必要となります。
傷口はずっと残るものなの?
術後すぐや時間が経過していない状態では数㎝の傷が残りますが将来的にはシワと同化していくため、傷口が目立つことはありません。一般的にはわきの下を4~5㎝ほど切開します。
シリコンバッグは将来的に交換する必要がありますか?
シリコンバッグが破損すれば交換が必要となりますが、定期的に病院に通うといったメンテナンスは必要ありません。
シリコンバッグが入ったまま一般病院にいっても大丈夫ですか?
通常のレントゲンではわからないことが多いと思います。CTではバッグが写ってしまいますが、意識して見なければ意外とスルーしてしまっている場合もあります(放射線科医としては失格ですが・・・)。乳がん検診のマンモグラフィーではバッグが破損してしまうリスクがあります。エコーではバッグに気づかれてしまいます。シリコンバッグが入っても乳がんの危険性は高まりませんし、お分かりの通り乳がんは乳腺にできますので、乳腺下にシリコンがあっても問題はありません。乳がんの手術の際には一緒に取り除かれてしまいます。